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越冬をするため、南に移動する渡り鳥や、海洋を回遊する魚たち。これら生物はもちろん、人間のように方位磁石やレーダーなどは使いませんが、なぜか道に迷うことなくちゃんと自分のいる場所、行くべき方角がわかっているかのようです。
実はこれら生物の体には体内磁石と呼べるような、磁石の不思議な力が備わっているのです。 |
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地球自体が北極(N極)と南極(S極)をもつ大きな磁石であり、北極から南極に向かって無数の磁力線が流れています。そのため、地表には地磁気があり、その上で生活する生物に何らかの影響を及ぼしていると考えられてきました。
1962年に磁鉄鉱と同じ物体を体内に持つ微生物や、地磁気の磁力線に反応する微生物が発見され、これらは体内にある磁鉄鉱が外部の磁界をうけ、行くべき方向を判断していることがわかりました。
その後、海底の泥や淡水の湖沼などからも磁石に反応するバクテリア(磁性細菌)が発見され、それらは北半球でN極に、南半球でS極に向かって泳ぐことがわかっています。日本でも、様々な特性をもった10種類以上が確認されています。
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微生物レベルの小さな生き物だけでなく、マグロ、サケ、サメ、イルカなどが体内磁石を持っていることが確認されています。
また、渡り鳥が長距離飛行をする際、太陽や星の位置だけでなく、地磁気の変化を脳の一部の磁気センサーが感知して正しい方向へ飛ぶことができるという説が有力になっています。
その他、ミツバチやアリ、ハトの体内にも磁気センサーがあり、餌の場所や巣の方向を感知しているようです。

伝書バトに小さな磁石をつけ、ハトの体内磁石のコンパスを狂わせてみた実験があります。晴天の日は特に影響はなかったのですが、くもりの日には方向を見失うハトが多くなることがわかりました。これは、晴れた日は体内磁石が狂っても太陽などの手がかりがあれば飛行ルートを見失うことはないのですが、それらの手がかりもないとハトたちは方向を見失うということでしょう。
こういった実験をもとに、迷惑カラスなどの鳥よけに磁石が使われています。体内の磁気コンパスを狂わすなら、鳥は磁石が嫌いだという考えからです。
磁石を使った鳥よけは、単に磁石を置いておくのではなく、リング型磁石をヒモでつるしたり、風車の羽に磁石を取り付けたりと磁界を空間内で変動させるほうが効果的といわれています。電力会社も、カラスが電柱に巣をつくるのをふせぐためプラスチックの棒の先端に磁石をつけた鳥よけ装置を設置しています。
これまで述べたように、生物の中には体内磁石と呼べるような不思議な力があるようです。
また、上記の磁性細菌を利用して酵素に磁鉄鉱微粒子を合体させることができれば、体外から磁界によって酵素を誘導することができ、患部に薬を誘導することもできるでしょう。 |
生物と磁石の関係はまだまだ未解明のことがたくさんあり、うまく応用することができれば、私たち人間に有益な働きをしてくれるでしょう。
参考文献:
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山川正光著「トコトンやさしい磁石の本」(日刊工業新聞社)
吉岡安之著「じしゃく忍法帳 磁石とエレクトロニクスのはなし」(日刊工業新聞社) |
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